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【決め手は中盤のフォーメーションチェンジ】パワーポップの超名盤だと思うThe BethsデビューAL感想

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😊祝・新譜リリース😊

今月7月に2ndアルバム「Jump Rope Gazers(2020)」をリリースしたThe Beths、新譜の鑑賞前に大好きすぎてやばい2年前のデビュー作「The Future Me Hates Me(2018)」のよさをまとめる 笑。

 

※本感想は2年前に書いたThe Bethsの感想を改めて書き直したもの

※新譜の感想ではない

 

 

目次

 

 

 

The Bethsの魅力

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2018年当時のアーティスト写真

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The Bethsの大きな特徴といえはやっぱり、無邪気でポップな性質がよく表れたリードボーカルのエリザベスの存在と、ブルース・クラシックロックの影響を根強く受けたような高い技術力を誇るジョナサンのロック要素。印象的には、ラウンドの前髪スタイルの性格によく表れてるようなエリザベスのキャッチーでポップなキャラクターがめちゃめちゃ強いのだけど、その中に60s~70sのハードロックにも通じるようなオーバードライブのギターが効いた年代物のロックンロールのアイディアが適応されてる感じ。王道のパワーポップという一種の分かりやすいジャンルものではあるのだけど、トラディショナルなものすら感じさせる正統派のロックギターを活かしてワクワクするような可愛さやピュアネスを強調するというオリジナル性がとても秀逸で、本当にめちゃめちゃ魅力的なバンドだと思う。具体的には、心が弾むようなハッピーなフィーリングをアクセル全開のドライブがかったハードロックで表現するGreat No One (M1)や、ジョナサンのうますぎるブルーステクニックのギターソロで音楽の楽しさが抜群に引き出されるWhatever (M9)など。エリザベスならではのパワーポップによる楽しいフィーリングの表現力が本当に高品質なのに、Cloud Nothingsのようなネバネバしたオーバードライブのギターサウンドもめっちゃ楽しくて本当にたまらない 笑。

さらには、もともとバンドの結成までメンバー達が大学でジャズをやってたということもあり、演奏スキル的にとても余裕がある部分も魅力的だと思う。本アルバムのリードトラックであるFuture Me Hates Me (M2)や、You Wouldn't Like Me (M4)などの安定感とかがまさにそう。特にジョナサンのギタープレイはチョーキングの細かいところまでサウンドの鳴らし方が本当に丁寧で、ギタリストの中でも優等生みたいな存在感が感じられる。ドラムのイヴァンも繊細な音を意識するジャズ特有のレギュラーグリップだったり、器用さが演奏スタイルの部分にも表れてたり。そういったポップとロックの要素・キャラクター性・オリジナリティだけでなく、余裕のある演奏や安定感などもThe Bethsのよさ要素の一つだと思う。

そんなThe Bethsだけど、Future Me Hates Meはアルバムとして本当にやばいので、次にアルバムの序盤・中盤・終盤について言う。

 

 

 

 

 

【序盤】パワーポップとして第一印象

Great No One (M1)~You Wouldn't Like Me (M4)

「Future Me Hates Me」という本アルバムが本当に超超超傑作なのは、前半1曲目から4曲目までの正統派パワーポップバンドとしての印象操作にまんまとハマってしまうというところ...!!笑。まずここが本当にやばい。序盤で用意されてるThe BethsのFuture Me Hates Me (M2)とYou Wouldn't Like Me (M4)の二大リードトラックがめちゃめちゃそう。

 

序盤におけるメンバーのフォーメーション(私的イメージ)

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エリザベスのキャラクターが主体に感じられるような明るく元気なベーシックのパワーポップの作風。The Beths特有の熱量のあるロックンロールの要素はあくまでバッキングに徹していて、ポップの枠を超えることがなく安定してる感じ。特に明るく元気なエリザベスのキャラが本当にめちゃめちゃ印象的なのもあって、序盤のリードトラックにおけるパワーポップの音楽性がエリザベスのイメージと脳内で深くマッチングするところがある 笑。MVの雰囲気から伝わるように、エリザベスの人間味溢れるキャラって本当に最高に魅力的..。

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"The Beths"ってバンド名の"beth"ってElizabethのbethから来てるんじゃないかな?もともとバンドはジョナサンのオファーから始まってるけど、ロックスキルの高いジョナサンがロックではなくパワーポップとしてバンドをプロデュースしてるあたり、エリザベスをメインに置いた音楽性を目指してる感じがする。Great No One (M1)やUptown Girl (M3)のような熱量高めのアップテンポなナンバーも序盤に含まれてるけど、曲調的にはやっぱりエリザベスのハッピーな楽しさが強い感じ。

特に当時はアルバムのリリース前から先行曲としてFuture Me Hates Meが公開されていたし、リスナーが鑑賞前からアルバムの作風をジャンル的に王道のパワーポップだとある程度決定してたのも大きかったなって。まずここが、想像を超えるその先の展開の意外性を高めまくる印相操作として完璧であったのだった...笑。

 

 

 

 

 

【中盤】パワポの印象を破壊するフォーメーションチェンジ

Not Running (M5)~Little Death (M6)

超魅力的なエリザベスのキャラクター性を活かした最高のパワーポップの序盤から一変、ここで突然、バッキング隊による本気のロックが炸裂する...!!

 

中盤におけるメンバーのフォーメーション(序盤と比較的に)

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イメージ的には、エリザベス主体だった序盤のフォーメーションよりも、比較的ジョナサン率いる裏方のバンド隊がもっと前に出てきたような感じ。この序盤からのフォーメーションチェンジが本当に最高すぎてやばい。。。笑

アルバム中盤の5曲目のNot Runningで、4曲目のYou Wouldn't Like Meの印象からは本当に微塵も想像できないくらいクールでかっこいいロックのパートが始める。今までのパワーポップで表現されてたエリザベスの明るくハッピーな印象が全て嘘だったかのように感じてしまうほど、切ないフィーリングと熱い思いが溢れた本気のロックのやつ。ギターをかき鳴らしまくったり、シンバルも連打するように激しく打ち鳴らしたり、音楽的にはハードロック・エモの領域まで到達するような熱量がある。このギャップの作り方、意外性が楽しめるアルバムとしてのストーリー性、言い換えれば「"実はこうでした~"みたいな衝撃的展開の用意」というか、「力を秘めた主人公が切り札を使うような最大の見せ所」みたいなやつ、この部分が本当に本当に最高すぎてやばすぎる。初めて何も知らずにアルバムを通して聴いたときは、グッときまくるあまり思わず死にそうになった 笑。本当にめちゃめちゃ想像を超えるインパクトがある、これに初めて出会える人が本当に羨ましい 笑。

特に6曲目のLittle Deathは、ハードロックのバッキング隊がエリザベスのキャッチーなメロディー力をめちゃめちゃ借りて、この上なく熱くなれるような最高の盛り上がりのパートを持ってるところが本当にたまらない。ラストに差し掛かる部分でリードボーカルにメンバー全員の熱いコーラスを重ねて盛り上がりをもっと高めていく感じ。燃えるように打ち鳴らされるドラムのシンバルのサウンドも相まって、もう本当にめちゃめちゃ感動して泣きそうになる。この情熱、この感動、他の一般的なパワーポップでは考えられないと思う。そのくらいギャップが効いててインパクトがやばい。

 

 

 

 

 

 

【終盤】とどめの一撃 "The Beths"

Happy Unhappy (M7)~Less Than Thou (M10)

エリザベスの印象が強いパワーポップの序盤、それとは対称的にバッキング隊のロック力が炸裂した中盤をそれぞれを経て、メンバー・バンドとしての深みがやばいほど感じられるThe Bethsの本領発揮、終盤のパートが始まる。。。

 

終盤におけるメンバーのフォーメーション(序盤・中盤を経て)

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序盤・中盤のパートを経たからこそ、エリザベスだけでなくメンバー全員の存在をもっと素敵に感じられるような深みが出まくるのだけど、それを利用しつつ、音楽的にも感動のフィナーレパートを用意してるのが本当にずるすぎる...笑。具体的には、River Run: Lvl 1 (M8)やWhatever (M9)など。The Bethsの持ち味であるエリザベスらしいハッピーなポップセンスと、バッキング隊含めジョナサンの最高のギタースキルを活かしたロックセンスの二つを同時にフル出力したような感じ。序盤のパワーポップと中盤の激アツロック、これまでの様々な思いを抱えながらエンディングに向かっていくような充実した大スケール感もあるし、曲調的に序盤とは少し違うキラキラしたロマンチックさのハピネスもあったりして、本当にたまらないほど感動する。特に9曲目のWhateverに関してはメロディー・曲構造など、楽曲として完成度が本当に高くて素晴らしい。中でも私的に間奏のギターソロの入りが死ぬほど好きで、何度聴いても顔面がぐしゃぐしゃになる。かわいらしさもある正統派のパワーポップでどうしてこんな壮絶なエモーションを描き出せるのか...、ジョナサンのギターソロの音の選び方は本当にすごい。このWhateverがThe Bethsのデビューソングということだけど、これをラストに持ってくるの、本当にめちゃめちゃ大好き 笑。

 

 

 

 

 

 

 

新譜「Jump Rope Gazers」における私的大事件

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2019年、ドラマー イヴァンが脱退

 

初めて情報を知ったとき、「本当ですかーーー?!?!」ってなった 笑。「Future Me Hates Me」、激アツロックの中盤パート然り、ドラム本当に大好きだったのに...泣。Death Cab For Cutieのように、ドラマーの変更によってさらに大好きになるようなパターンもあるにはあると思うけど、私にとって結構ショックな案件だった。メインのエリザベスとジョナサンさえいればどう変わっても大丈夫じゃないかなとも思う反面、私的めちゃツボだった激アツロックがこれから聴けないかもしれないと思うと変に落ち込んでしまう...笑。

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と思ってたけど、新しいドラマーすごく優しそうな人だった

新譜はまだ聴いていない(はよ聴けや)